犬の僧帽弁閉鎖不全症B1とB2は何が違う?元気でも早めの管理が大切な理由

犬の僧帽弁閉鎖不全症でB1とB2は何が違う?元気でも早めの管理が大切な理由
獣医師解説

犬の僧帽弁閉鎖不全症
B1とB2は何が違う?
元気でも早めの管理が大切な理由

心雑音はあるけれど元気な犬でも、見た目以上に病気が進んでいることがあります。B1・B2それぞれの違いと、当院が早めの管理を勧める理由を解説します。

「心雑音がありますね」
動物病院でそう言われても、まだ元気で、咳もなく、普段どおりに見えると、そこまで深刻には感じにくいものです。

ですが、犬の僧帽弁閉鎖不全症では、
B1とB2で”見た目以上に大きな差”があります。

どちらも元気に見えることがあります。でも、B2になると心臓の内部では負担が進み、管理の意味が変わってきます。

この記事でわかること
  1. B1とB2は何が違うのか
  2. 元気でも安心しきれない理由
  3. 当院が早い段階から管理を勧める理由
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僧帽弁閉鎖不全症にはステージがある

犬の僧帽弁閉鎖不全症は、進行の程度によってステージ分類されます。ACVIMのガイドラインでは、A・B1・B2・C・Dという形で整理されています。

ステージ A
発症リスクがある段階
まだ心臓に明らかな異常はありませんが、キャバリア、チワワ、トイプードルなど発症しやすい犬種が含まれます。
ステージ B1
逆流あり・心拡大なし
僧帽弁の逆流は始まっており、心雑音が確認されることがあります。ただし、心臓の拡大がはっきりしていない状態です。多くの子は普段どおり元気に見えます。
ステージ B2
逆流あり・心拡大あり ⚠️
逆流が進み、心臓の拡大が始まっている段階です。見た目は元気でも、心臓にはすでに余分な負担がかかり始めています。管理の考え方が変わる重要な境目です。
ステージ C
症状が出てくる段階
咳、呼吸の変化、疲れやすさなど、心不全を疑う症状が出てくる段階です。
ステージ D
治療反応が乏しくなる段階
治療を行っていても、反応が乏しくなりやすい進行段階です。

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B1とB2の違いは「心雑音の有無」ではなく「心臓への負担」

飼い主さんが誤解しやすいのは、「どちらも元気なら、そんなに変わらないのでは?」という点です。

しかし、B1とB2の違いは、単に心雑音があるかどうかではありません。いちばん大きな違いは、心臓がもう拡大し始めているかどうかです。

B1
心拡大なし
逆流は始まっているものの、心臓の大きさはまだ正常範囲内。心臓への負担は軽い段階です。
B2
心拡大あり
左心房・左心室が少しずつ大きくなっている段階。見た目は元気でも、心臓の中ではすでに無理が始まっています。
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僧帽弁は、心臓の中で血液の逆流を防ぐ”扉”のような役割をしています。この扉が厚く変形して閉じにくくなると血液が逆流し、心臓は本来より多く働かないといけなくなります。その状態が続くと、左心房や左心室が少しずつ大きくなっていきます。

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元気でも安心できない理由

僧帽弁閉鎖不全症でやっかいなのは、悪化していても、しばらくは元気に見えることが多いことです。

こうした小さな変化は、どれも最初は目立ちません。「年齢のせいかな」「たまたまかな」で流されやすいのですが、その裏で心臓への負担が進んでいることがあります。

  • 散歩の途中で少し立ち止まる
  • 前より寝ている時間が増えた
  • 寝ているときの呼吸が少し早い気がする
  • たまに軽く咳をする
大切なポイント:心雑音の強さだけではB1かB2かを正確に判断できません。実際には、聴診だけでなく、レントゲンや心エコーで心拡大の有無を確認することが重要です。ACVIMのガイドラインでも、B2は画像評価を含めて判断されるステージです。

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B1とB2で管理の考え方が変わる

B1とB2は、どちらも「まだ元気」に見えることがあります。ですが、管理の優先度は同じではありません。

ACVIMのコンセンサスでは、B2はB1より一段進んだ前臨床段階であり、治療・管理の介入を考える重要な時期とされています。また、EPIC試験では、基準を満たしたB2の犬でピモベンダン投与により、心不全発症または心臓死までの期間延長が示されました。
ステージ別の管理の考え方

B1:今の状態をなるべく長く保つ段階。まだ日常生活が大きく崩れていないからこそ、続けやすい形で管理を始める意味があります。

B2:負担が進んでいる前提で、管理を一段強める段階。早めの介入が、その後の経過に大きく影響します。


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当院の管理アプローチ

当院では、心臓病の管理を「症状が出てから慌てて始めるもの」ではなく、まだ元気なうちから積み上げていくものと考えています。

B1
ステージ B1
口腔管理と食事の土台を整える
当院では口腔内環境の悪化を軽く見ないことが大切だと考えています。B1のうちから歯周管理を継続し、食事内容で体への負担を整えることをご提案しています。
🦷 Ichi+(イチタス) 🍚 ベースフード75
B2
ステージ B2
体の内側からのケアをもう一段重ねる
B1のケアに加えて、体の内側からのアプローチを強化します。当院受診のうえで『はぁとfull』を継続した症例では、90%以上で僧帽弁の厚みが薄くなる変化を院内で確認しています(※院内データ)。
💊 はぁとfull 🦷 Ichi+(イチタス) 🍚 ベースフード75
C+
ステージ C 以降
症状に合わせた本格的な治療
症状が出てくる段階では、獣医師の指示のもと薬物療法など本格的な治療が中心になります。それまでに積み上げてきた管理が、この段階でも土台として活きてきます。

こんな子は一度見直してほしい

次のような子は、「まだ元気だから大丈夫」と決めつけず、一度きちんと状態を確認していただきたいです。

チェックリスト
  • 心雑音があると言われている
  • 以前より寝ている時間が増えた
  • 散歩で立ち止まることが増えた
  • たまに咳をする
  • 寝ているときの呼吸が少し気になる
  • しばらく心エコーをしていない

B1とB2は、見た目だけでは区別しにくいことがあります。だからこそ、「元気そうに見える今」こそ確認する価値があるのです。


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まとめ

大切な3つのポイント

  • 1B1は心拡大がない段階、B2は心拡大が始まり心臓への負担が進んでいる段階。見た目は似ていても、内部では大きな差があります。
  • 2まだ元気だからこそ管理を始める。B1のうちから毎日続けられるケアを積み上げることが大切です。
  • 3B2になったら管理を一段強める。心拡大が始まっている前提で、体の内側からのケアも加えていきます。
当院からのメッセージ

「まだ元気だから様子を見る」ではなく、「まだ元気だから今のうちに整える」

これが、心臓病の子と長く穏やかに過ごすための第一歩になります。


ステージ B1 の子へ
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毎日の口腔管理に
まだ元気な今のうちに始められることがあります。舐めるだけで使いやすく、歯周環境を日々整えるケアとして続けやすい形にしています。
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ステージ B2 以降の子へ
はぁとfull
体の内側からのケアに
ご飯にかけるだけで続けやすく、日々の管理に組み込みやすい設計です。B2以降の管理で、口腔・食事管理に加えてご提案しています。
はぁとfullの詳細はこちら →
🩺
この記事を書いた獣医師
藤本 愛彦 獣医師
ごとふ動物病院 院長 / 心臓病・アレルギー・アトピー専門外来
(福岡市早良区)
犬の循環器疾患・アレルギー・皮膚疾患を専門とし、ステージ別の丁寧な説明と自宅ケア指導を重視した診療を行う。無麻酔歯石除去10年・年間3,600頭以上の実績も持つ。
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